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私のブース情報は以下です。
■東京流通センター 第二展示場 F ホール
■ブース: て-15〜16 「海響舎と作家の手帖」
第二展示場の2階の、 左側の壁の、 まんなかあたりです。
新作あります
既刊のみでいいかなと思っていたんですが、 やっぱり何か作りたくなってしまい……過去に個人的に書いていたテキストを加筆修正し、 「ふたつのお金」 という小冊子にしました。
近年、 会社員と文筆業を営むなかで、 会社員人生だけでは体験できなかったできごとや、 気づきが多々ありました。原稿料や印税収入といった、 いわゆる副業収入を得たことで変わったこともあります。そうした個人的な心境の変化について書いています。
ウェブカタログは以下です。
「ふたつのお金」 (海響舎と作家の手帖 / 文学フリマ東京 37 て-15〜16) - 文学フリマ Web カタログ+エントリー
また、 隣の 「いぬのせなか座」 ブースでは、 共同出店している笠井さんの新作 『10 日間で作文を上手にする方法 Day1-Day6』 が頒布されているので、 あわせてぜひチェックしてください!
「だれでも休憩所」をやります
今回は、 笠井さんと共同編集長をしている 「作家の手帖」 というウェブメディアとの共同名義で出店しています。「作家の手帖」 はオンラインが主体なので、 紙ものは積極的に作っていません。広めに取ったブースを何に使おうか考えるなかで、 お客さんが座って休めるスペースがあったらいいという話になりました。
最近は物価上昇から、 同人誌や ZINE をつくることの金銭的コストも上がってきています。文学フリマという場を、 純粋な楽しみの場として捉えるか、 商売をする場として捉えるかにもよると思うのですが、 出店料や運送費などを考えると、 制作物の利益を文学フリマの売上だけで回収するのは、 以前よりも難しくなっている印象があります。
また、 インディーズ制作の裾野がより広がったことで、 本を作ることの心理的ハードルも上がったような気がしています。これはあくまで小澤の個人的な実感で、 加齢や日々の疲れといった影響も多分にあることは否定できませんが……。
ものをつくって売るだけではなくて、 改めてコミュニケーションの場として文フリを考えてみようと思い、 このような場を設けてみることにしました。
詳細はこちらです。
「だれでも休憩所」 (海響舎と作家の手帖 / 文学フリマ東京 37 て-15〜16) - 文学フリマ Web カタログ+エントリー
SNS で思っていたより反響があり、 うれしく思っています。
ぜひお気軽にお越しください。
告知はここまでです。
以下は昨今の文学フリマ東京をはじめとする、 東京の出版事情に関する雑感です。
ブース連携と「だれでも休憩所」について
今回、 はじめての試みとして、 隣接配置の申請をしました。もともと 「評論 ・ 研究|出版」 カテゴリとして 「いぬのせなか座」 と 「LOCUST」 との隣接を相談していたところ、 佐々木敦さんにお声がけをいただき、 結果 8 ブースでの隣接となりました。
隣接が必要だなと思ったのは、 文フリ東京全体の参加人数が増える中、 個人ブース同士が横に連携する必要があると思ったことと、 来場者目線で見て買いやすい状況を作りたかったという、 ふたつの理由があります。
例えばひとりで出店していた場合、 食事やお手洗い休憩をしたいときに少しだけ店番をお願いするとか、 設営 ・ 撤収時に必要な資材をわけあうといった、 ちょっとした相互扶助ができないだろうか、 という問題意識がありました。
ただ、 隣のブースのまったく見知らぬ方とやりとりが発生するのも、 私が同人誌即売会に感じる大きな魅力のひとつです。なので、 そうしたコミュニケーションは 「休憩所」 にいらしていただいた方とお話することでかなえたいと思いました。
また、 ジャンルや関心が比較的近いブースでまとまることで、 来場者から見てある種のキュレーションがなされたような状況を作れないかなと思いました。そうすることでいわゆる 「界隈」 の感じが出てしまう懸念はありましたが、 さすがに来場者 1 万人となると、 出店者側が集まって助け合うメリットのほうが大きいのではないかと思いました。
次回以降も休憩所を提供するかはまだわかりませんが、 今後は余裕のある出店者同士で草の根的に連携し、 休める場所を作っていくのはあり得ると思ってます。
ぱっと考えたのは、 たとえば出店申込時に、 「椅子提供可」 なブース同士で連結申請をできたら、 ちょっとした休憩可能な一角として運営できるかも、 と思いました。ただセキュリティのこともあり、 誰が責任を取るのかという話になるので、 大々的に利用を呼びかけるのは難しいかもしれません。
今回、 文学フリマの参加規約を読んだうえで 「無料の作品の頒布」 という立て付けで 「だれでも休憩所」 を提供しますが、 規約上 「人が集まるパフォーマンス」 は禁止行為なので、 休みたいお客さんがたくさん集まってしまうと、 それはそれで問題かもしれません。
まずは明日の文フリで休憩所をやってみて、 次にできることを考えていきます。
自主制作物を作って売る場所の今後を考えたい
文フリ東京が、 来年から入場料の徴収と東京ビッグサイトへの移転をすると発表したのも、 さまざまな議論を呼んでいると思います。
「だれでも休憩所」 は、 この発表の前に実施を決めたのですが、 結果的に現時点の文学フリマ東京に対する、 いち出店者からの回答になりそうです。
前回の文フリ東京では、 あまりの人流の多さに限界を感じているひとりだったので、 今回の発表は好意的に受け止めたいなと思っています。特に、 第一展示場の空気の悪さが気になっていたので、 天井の高いビックサイトでは、 そこがだいぶ改善されるんじゃないかと期待しています。
また昨今は、 同人誌即売会だけでなく、 各所で実施されるブックフェアが非常に盛況です。先日の神保町ブックフェスには行けませんでしたが、 かなりの盛り上がりだと聞きました。
そうした盛り上がりの一方、 書店の売上は以前厳しいという報道を日々目にしますし、 個人的なつながりのある書店でも、 お客さんがなかなか来ないという話を聞きます。
人が集まるイベントでしか本が売れない、 とまでは思いませんが、 イベントに出たほうが本を売りやすいという状況は、 肌感覚として感じます。そのような状況に対して、 もちろん無関心でいたわけではないのですが、 頭のどこかで 「個人でできることはそんなにない」 と思っていたのも事実です。
今後はますます、 地方の文学フリマや、 都内近郊でのちいさな即売会 (いわゆるオンリーイベント) を立ち上げたり、 そこに参加する動きが出てくると思います。実際に Twitter 上ではそうしたい、 できたらいい、 という声があります。出版社や書店だけでなく、 ZINE や同人誌といった自主制作を行う人たちも、 この状況について真剣に考えるときが来たんだなと思いました。
私も、 道路交通法を学んだ上で路上販売をしてみるとか、 どこか場所を借りて同人誌や ZINE を読み放題な空間を作ってみるとか、 夢想しています。ですが、 どうしてもお金はかかるし、 何かしらの責任が発生するので、 かんたんにはできません。自分のやりたい企画との兼ね合いを探りながら、 考えていくつもりです。
とりとめないですが、 こういうことも、 明日の文フリ東京で話せるとうれしいです。